こんにちは、グループホームは認知症の方しか利用できない施設ってご存知ですよね。
認知症がある方はADLのアップってなかなか難しく、私たち介護員にとってはその方の為に何が出来るか?どうすればいいのか?と言うのが永遠のテーマです。
今日は、私たちグループホームの職員にとっても、ご利用者様にとっても、喜ばしく、嬉しい出来事を皆様にお伝えしたく投稿しました。
ちょうど2年前の今頃、Aさん80歳代 要介護3の女性が入居されました。当時は歩行もされ、失礼ながら、口も達者で、環境が変わった事もあり、精神的に不安定で、介護拒否。何を言っても、「うるさい」「ほっといて」「帰りたい」と言う毎日。それでも、職員は負けじと、勿論笑顔でケアを続けていましたが、介護拒否はひどくなるばかり、そのうちに食事以外はフロアーにも出てこられず、居室のベッドで過ごすことが多くなり、身体的にも精神的にもADLが下がる一方で、その内に両踵に、褥瘡様発赤も見られ、筋力もなくなり車椅子での移動、当然のことの様に失禁も増え、オムツ使用と推移しました。この状態は私たち介護職員にとっての責任で、恥とも言える事です。一生懸命ケアをしていましたが、私たちの心のどこかで、「言っても聞いてくれない」と言う諦めの気持ちがあったのではないのかと、ミーティングを重ね、初心に帰り、Aさんに対して再アプローチを掛ける事を話し合いました。
怒られても、怒られても、Aさんに対して、根気よく働きかけ、踵のケアも看護師が毎日処置を行い、フロアーに出てきていただける様にレクリェーションを考え、ケアを行いました。「アホか、しつこい」のそのAさんの言葉が、少しずつ優しく、時には笑も見られ、フロアーにて過ごされている姿が増えてきました。勿論Aさんの協力がなければ成り立たない状況ですが、Aさんの心を少しずつ開くことができたのは、ひとえに職員の笑顔と、なんとかここグループホームで楽しく毎日を過ごして欲しいと言う思いが強かったからだと思います。
そうなると、Aさんにも、私たちにも欲が出てくる。オムツを外したいと強く思うようになり、車椅子から降りたい、自分の足で歩きたい、人として当たり前のことです。そしてまたミーティングを繰り返し、再々アプローチの始まりです。今度は職員だけでは無くAさん自身の戦いでもあります。本当にAさんも頑張りました。筋力の落ちた足で歩行をする事もさぞしんどかったでしょう。トイレ誘導の時も、すっかり穏やかになられたAさんが「ごめんな・ごめんな忙しいのに」と声をかけてくれて、トイレで立ったり、座ったりはしんどかったでしょう。やがてオムツがリハパンとなり、パットのみとなり普通の下着のみとなり、伝い歩きが手引き歩行となり、一人で歩いてトイレや居室に行かれる姿は、圧巻!認知症の方、高齢者の方が、自立から介助が必要になる。自力排尿からリハパンになりオムツになる。なんとかそれを抑えたいと私たちは介護する。そんな毎日の中、この出来事は私たち介護員にとっては最高の喜びで、介護職冥利に尽きると思いました。
一人でも多くの方に、この話を聞いて欲しく投稿しました。残念ながらAさんは金銭的な理由にて、他の施設に転居されてしまいましたが、行きたくないと毎日私たちに言われていましたが、家計の事情をしっかりと認識されておられ、「昔と違ってみんなのおかげで今はなんでも出来るので、大丈夫!」と反対に私たちに「泣くな!」とばかりにお話をされ、元気に転居されました。私たちはこのAさんに心から感謝しています。介護の原点を思い出させてくれ、諦めない事を教えてくれました。これからも私たち介護員は一人でも多くの利用者様のADLアップを全力で支援したいと改めて思います。
投稿者 Y.M
※ADL(Activities of Daily Living)とは、「日常生活動作」または「日常生活能力」とも言い、歩行・起立・トイレ動作・入浴・食事・着替え・身だしなみなど、日常生活を営むために最低限必要な能力のこと。